
住宅のメンテナンスと聞くと、「外壁」「屋根」などを思い浮かべる方が多いですが、
実は 雨樋(あまどい) も住まいを守るために欠かせない重要な設備です。
雨樋は目立たない存在ですが、劣化が進むと家に深刻なダメージを与えることもあるため、
外壁塗装と合わせて点検・補修を行うことが非常に大切です。
今回は、雨樋の役割、劣化のサイン、放置するデメリット、
補修や交換が必要なケースについて詳しく解説します。
1. 雨樋の役割と重要性
雨樋は、屋根に降った雨水を適切に集め、地面や排水口へ流すための設備です。
「ただ雨水を流すだけ」と思われがちですが、
雨樋が正しく機能しないと次のような問題が起こる可能性があります。
● 外壁の汚れ・劣化を防ぐ
雨水が外壁を伝って流れると、汚れの付着やコケ・カビの発生を早めます。

● 基礎や土台の保護
屋根から落ちる大量の雨水が基礎部分に当たると、
コンクリートの劣化や土台の腐食につながることがあります。
● 雨音を軽減する
適切に雨水を流すことで、雨だれ音を軽減し、快適な住環境を維持します。
雨樋は、外壁や屋根と同じく “家を守るための大切なパーツ” だということが分かります。
2. 雨樋のよくある劣化症状
雨樋は屋外に設置されているため、紫外線・風・雨・雪の影響を直接受けます。
そのため、年月の経過とともに次のような劣化が起こります。
● 変形・ゆがみ
強風や積雪の重みにより、樋が歪んで勾配不良を起こすことがあります。
● 破損・割れ
経年劣化でプラスチックの樋は硬化し、衝撃や温度変化でヒビが入りやすくなります。
● 詰まり(落ち葉・ゴミ)
特に樹木が近くにある住宅では、落ち葉詰まりで雨水が溢れやすくなります。

● 金具のサビ・外れ
雨樋を支える金具がサビると、樋が下がって正常に排水できなくなります。
● ジョイント(継ぎ目)からの漏れ
パッキンの劣化により、継ぎ目からポタポタ水が漏れることも。
こうした症状は、一見すると小さな不具合に見えますが、
放置すると家全体に悪影響を及ぼします。
3. 雨樋の劣化を放置すると起こるデメリット
◆ 外壁の汚れ・劣化が早まる
雨樋から溢れた水が外壁を濡らし続けると、
・チョーキング
・コケやカビの発生
・塗膜の劣化
を早めてしまいます。
外壁塗装を行っても雨樋が悪いままでは、塗装の耐久性も下がってしまいます。
◆ 雨漏りのリスクが高まる
意外に思われるかもしれませんが、雨樋が機能しないことで屋根の水がうまく流れず、
軒先の雨漏りを引き起こすケースがあります。
◆ 基礎部分の劣化
屋根から落ちた雨が地面に跳ね返り、基礎に水を浴びせ続けると、
コンクリートの中性化が進み、ひび割れの原因になります。
◆ 植栽・庭のトラブル
特定の場所に雨水が落ち続けることで、土が削れたり、泥はねが外壁を汚すことも。
◆ 湿気による家の腐食
外壁や土台に常に水がかかる状態が続くと、木材の腐食やシロアリ被害の原因にもなります。
4. 雨樋は「部分補修」できる?それとも「全部交換」?
雨樋の補修を検討する際、
部分的な修理で済むのか、全交換が必要なのか
気になる方は多いはずです。
ここでは、それぞれの判断基準について解説します。
4-1. 部分補修で対応できるケース
次のような場合は、比較的軽度の不具合として「部分補修」で直せることが多いです。

● ジョイント(継ぎ目)からの漏れ
パッキン交換、シーリング補修で対応可能。
● 一部の割れ・破損
その部分の樋のみ交換が可能です。
● 金具のサビ・外れ
金具交換で正常に戻るケースが多いです。
● 軽度の詰まり
清掃で改善します。
● 軽度の勾配不良
金具の調整で排水が正常になる場合も。
部分補修は、費用も抑えられ、工期も短いのがメリットです。
4-2. 全部取り換えが必要なケース
以下のような症状がある場合は、部分補修では対応できず、
雨樋全交換を検討する必要があります。
● 全体的に歪みがある
長年の風雪で雨樋全体が波打っている場合は、部分補修では改善しません。
● 素材が劣化し、硬化して割れやすくなっている
築20年以上の住宅では、樹脂製の雨樋が寿命を迎えているケースがあります。

● 排水機能がほとんど失われている
勾配不良や落ち口の位置が悪く、水が正しく流れない場合。
● 屋根リフォームのタイミング
屋根カバー工法や葺き替えを行う際は、雨樋もまとめて交換することで見た目も機能も向上。
● 部分補修しても不具合が再発する
経年で各所が傷んでいる場合、
補修を繰り返すより全交換の方がコスパが良いこともあります。
5. 雨樋の寿命と交換のタイミング
一般的な雨樋の寿命は 20〜25年程度 と言われています。
特に屋根の形状や周辺環境(木が多い、風の通り道など)によって寿命は前後します。
次のようなタイミングで点検・交換を検討すると安心です。
築15年を過ぎた
外壁塗装を検討している
落ち葉が多い環境に住んでいる
台風や大雪の後に不安がある
外壁塗装と同時に雨樋を直すと、足場代が1回で済むため、
トータルの出費を抑えられるメリットもあります。
6. 外壁塗装と一緒に雨樋をメンテナンスするメリット
雨樋は外壁塗装工事の際に、足場を組むので点検・補修がしやすい部位です。
● 足場代が節約できる
● 外壁・屋根と同時に家全体の防水性アップ
● 見た目も美しくなる(塗装できる樋の場合は再塗装できる)
「雨樋は後で…」と後回しにすると、再び足場代が必要になるため、
できれば塗装のタイミングに合わせたメンテナンスが賢い選択です。
7. まとめ
雨樋は普段なかなか気にしない部分ですが、家を長持ちさせるためには非常に重要な設備です。
◆ 放置すると…
✔ 外壁の劣化が早まる
✔ 雨漏りの原因になる
✔ 基礎や土台が傷む
✔ 庭や外構にも影響が出る
◆ 補修・交換の判断
✔ 軽度なら部分補修
✔ 経年劣化が進んでいれば全交換
✔ 外壁塗装と同時のメンテナンスがコスパ良し
雨樋の劣化が気になっている方や、外壁塗装を検討している方は、
この機会に一度専門業者の診断を受けることをおすすめします。